「はじめましてo葛城聡です」


リビングで丁重におもてなしされている20歳前半の男性は葛城聡[かつらぎ そう]と名乗ったo
見た目・・・カナリ、カッコイイかもしれないo優しい微笑みで落ち着いた感じo
うーん、大人の男って感じo和志は・・・うん、まだまだ子どもだしo
尚人は・・大人っぽい考え方してるけど雰囲気はまだまだ子どもo

ところで、何のようなんだろうo
そう私が首を傾げたとき、尚志さんが口を開いたo


「優菜の婚約者だ」


尚志さんの言葉の反応はまちまちo
私はまっさかぁ〜ってちょっと驚いただけo
和志は固まって真っ青o尚人はマジで?っていう驚き顔o
果菜さんは・・・・申し訳なさそうな困惑気味の表情o
尚志さんは何でもない風を装ってるo
葛城さんはにこにこと私たちを見てるo


「優菜が18歳になったら言おうと思っていてねo
葛城グループは知っているだろう?」
「う、うんoそりゃぁ・・・・」
「葛城グループの総裁の一人息子なんだ、彼は」


ってことは物凄〜いお坊ちゃま?
輝星学園にはグループとか旧華族とかそういう凄いオウチと
つながりある人がいっぱいいるからあまり驚かないけれど・・・o
それにしても葛城って・・・ものすっごい大きいよ・・・o


「優菜にはもったいないくらいの相手だろう?」
「もったいないどころじゃなくて・・・申し訳ないんじゃないの、尚志さん」


私が慌てて尚人さんに小声で聞くo
まぁ、小声とは言ってもシーンとしてる部屋だから葛城さんにはバッチシ聞こえたと思うo
くすくすって感じで笑ってるoあれ、なんだか見覚えのある優しい表情o


「俺のこと覚えてないかな、優菜ちゃん」
「え・・・?」
「昔は聡ちゃんって凄い懐いてくれてたと思ってたんだけどなぁo
やっぱり忘れちゃったかぁo優菜ちゃんが小学生の頃だったから」


聡ちゃん・・・聡・・・え、嘘ッ?
私がその名前を思い出すと同時に尚人も思い出したらしいo


「アメリカ行っちゃった・・聡ちゃん?」
「そうそうo思い出してくれた?尚人君も」
「聡兄かぁ、久しぶりじゃんーo
俺、まだ小1だったからグループとか分からなかったけどo
聡兄って凄い人だったのかぁ」


うんうん、私も全然分からなかったo確かに聡兄は凄い人なんだよって聞いてたけどo
まさかあの葛城の総裁の一人息子だったなんてo


「え、じゃぁ聡ちゃんのお父さんって・・・葛城の総裁!?」
「ふふ、そうだよo伸って呼び捨てしてたけどね、優菜ちゃん」


聡ちゃんのお父さま、伸[しん]さんってすっごく優しくてあったかい人o
だから普通に伸って呼んじゃってたけど・・・oやだ、私・・・・o


「良いんだよ、気にしなくてo親父、優菜ちゃんのことカナリ気に入ってるからo
また会いたいなぁって言ってたんだけどさ、親父o総裁だからさぁ忙しいみたいでo
ぁあ、でも18歳のお祝いはするって言ってたよ」
「えへへ、嬉しい」


だって本当に優しい人なんだもんo温かくてよしよし、って頭撫でてくれた記憶があるo


「でも、どうして・・・婚約・・?」
「やっぱり忘れちゃってるかぁ、そうだよねぇo私聡ちゃんのお嫁さんになりたいo
って言ったの小学校3年生の時だもんなぁ」
「え、嘘ッ」
「あはは、やっぱり忘れちゃってるよねoでもあのとき親父と尚志さんは婚約を結んだんだよo
親の決めた話といえばそれまでだよ」
「聡ちゃん」
「でも・・・俺は本気で思ったんだよo三人姉弟の長女でいつも頑張ってるけどo
俺には甘えさせてあげたいなぁ、ってo優菜ちゃんだったら俺は良いかなって思ったんだ」


にこにこと笑ってる聡ちゃんの顔が優しさでいっぱいo
見守ってくれてるような温かい表情o

でもごめんね、聡ちゃんo私結婚できないのo
和志が好きだからo和志と一緒にいたいからo


「まぁ、とりあえずoこれからお世話になるね」
「え?お世話って・・?」
「暫く日本にいることになったんだけど家貸しちゃっててo
かといってそんなに長くいる訳じゃないからマンション借りるの勿体無いしo
とは言ってもホテルに住む程の短さでもなくってo
そしたら尚志さんがウチは部屋数多いからどうぞって言ってくれたんだo
お言葉に甘えることにしちゃったo優菜ちゃんの傍にいたいと思ったしね」



こうして葛城聡---聡ちゃん---はウチですごすことになったo

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